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元素のふしぎ 若林文高

「元素」って聞くと皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?「学校で習ったけれど難しくてよくわからなかった。そういえば、『水兵リーベー僕の船……』とか覚えたな」でしょうか?それとも、「新聞やTV等でいろいろ見るけどよくわからないな」でしょうか?中には、元素に興味を持っていらっしゃる方もいるかも知れません。元素についてまだ習っていない方、習ったけどよくわからなかった方、元素に興味を持っている方、そうしたいろいろな方にご覧いただきたいのがこの特別展です。

現在知られている118種類の元素全てについて、できるだけ実物を展示して皆さんに元素に興味を持っていただこうというのがこの特別展の趣旨です。人工元素など展示できないものはパネルだけの紹介になりますが、この5月末に正式な名前が決まったばかりの114番元素フレロビウムや116番元素リバモリウムを含めて展示されます。

そもそも「元素」ってなんでしょうか?まさに、使われている漢字そのものが「元素」を表現しています。それは、すべての物質の元(もと)、素(もと)になるものです。「世界はすべて元素でできている」、これは本特別展のキャッチフレーズであり、元素の本質をうまく表現しています。遠い宇宙にあるもの、私たちの目の前にあるもの、そして私たちの体自身も元素でできています。水素やヘリウム、炭素や酸素といった名前は聞いたことがあるでしょう。これらは全て元素です。元素があって私たちは存在しています。

それでは、展示を見ていきましょう。

まず、会場に入って目に入るのが「元素周期表」です。単に「周期表」と呼ばれることも多いです。元素についてはすべてこの周期表に集約されています。周期表を見るとその元素がどんな性質を持ち、その原子はどんな構造をしているのかがわかります。この周期表では似た性質の元素を色分けして表示しています。この色は、本展示のメイン展示である118の元素を紹介するコーナーでは道標となります。

入口を過ぎ、展示の導入部に入ります。ここは、元素にイメージを持っていただくためのグラフィック主体の展示です。最初は、よく知られた元素がどのようなところにあるかを、皆さんの経験と結びつけるような形でのグラフィックです。さらに進むと、宇宙は137億年前のビックバンで始まり、それで水素やヘリウム、リチウムなどの軽い元素が作られ、星の進化と共にさらに重い元素ができたことが説明されます。さらに、太陽や地球はどんな元素からできているのか、月や火星から飛んできた隕石も展示されます。さらに海、空、私たちの体はどんな元素からできているかがきれいなグラフィックで説明されます。

電子雲模型
電子雲模型
原子核のまわりをまわっている電子の軌道の3次元ガラス彫刻模型です。
電子の軌道が、実際はどうなっているのか立体的にわかります。
このような軌道が原子の化学的性質を決めています。
(写真提供:時田澄男氏・時田那珂子氏)

オスミウムレコード針
オスミウムレコード針
レコード針はサファイヤ針、ダイヤモンド針が有名ですが、
それらが出る前には、オスミウムを使ったレコード針が使われたことがあります。
当時としては長持ちする針でしたが、10数回レコードをかけると使えなくなりました。
オスミウムという金属元素の、今となっては珍しい使われ方です。

更に進むと、元素と原子についての基礎知識に関するコーナーです。「元素」や「原子」考え方がいつ頃から出されたのか、元素がどのように発見されてきたのかが展示されます。約100年前に日本で発見された幻の新元素.ニッポニウムにまつわる資料も展示されます。このコーナーの後半は、原子の構造と元素の性質に関する説明です。ちょっと難しいですが、このあとの各元素を紹介するコーナーの基礎知識が得られます。約90年前の周期表、電子の軌道の形を示す3次元ガラス彫刻など、他では見られない資料が展示されます。このコーナー最後にある「化学切手」展示も見逃せません。有名な化学者や元素記号を扱った切手の本物が展示されます。切手には銅箔や金箔、アルミ箔を使ったものがあり、中にはパラジウムを含んだ箔でてきたものがあり、これらは次のゾーンの各元素の紹介コーナーで展示されます。

ここを終わると、いよいよ各元素を紹介する広い展示空間に入ってきます。まず眼に入るのが、一番軽い元素の水素にまつわる資料です。水素燃料を使った燃料電池車が展示されています。次は、ヘリウム。飛行船が浮かんでいます。という具合に118種類の元素すべてが、原子番号順に紹介されています。各元素のコーナーでは、その元素の単体標本、身近な応用品、ハイテクでの利用品をできるだけ展示します。意外なところに意外な元素が使われていることに驚かれるでしょう。

この広い空間では、個々の元素を紹介するだけでなく、あるテーマで元素を扱うコーナーが幾つかあります。光と元素、宝石と元素、ガラスの色と元素、陶磁器や顔料と元素など、さまざまなきれいな色が元素によるものだということに驚かれるでしょう。特に私たちを魅了する宝石の色は、ほんの少し含まれる元素が決めているのです。金属をいろいろ触って違いを体験するコーナーもあります。同じ大きさの金属の塊をもって重さを比べる体験もできます。ずっしりとした本物の金塊も持てます。さて何キログラムでしょうか?

私たちの体に含まれる元素の重さをはかる「元素体重計」もあります。あなたの体にある酸素や炭素、鉄などは何キログラムでしょうか?最近、新聞紙上をにぎわす「レアメタルとレアアース」を紹介するコーナーもあります。元素の大切さがわかるでしょう。

音楽グループDream5が歌うテーマソング「ふしぎなげんそのうた」もできました。水素から118番元素まですべての元素名が軽快なメロディーにのって歌われます。「水兵リーベ……」に変わる元素名の新しい覚え方になるかもしれません。その他さまざまなイベントが計画されています。会場のいたるところに夏休みの宿題の題材にもなるものがあるかと思います。会場で配られる最新の周期表も役に立ちます。どうぞ、お出かけください。

(わかばやしふみたか・国立科学博物館理工学研究部)

 


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