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2014年 外国人留学生UMW感想文コンテストの最優秀賞2名の文章と評価発表

 

【時空の扉を開く人】

陸 依柳 さん 中国 早稲田大学国際コミュニケーション科

 日本文化を愛する私にとって、上野はよく通い、四季折々とも楽しめる不思議な場所です。国立博物館、国立科学博物館、国立西洋美術館などの集まりだけではなく、上野動物園や東照宮などもあり、子供から大人まで惹かれ、次の曲りに何と出会えるかを想像させます。特に初夏の上野ミュージアムウイークは、気軽に様々なイベントに飛び込み、ミュージアム巡りを通し、時空の扉の開く瞬間を満喫する時期です。
ミュージアム達の中、特別な一ヶ所に夢中になっています。それは下町風俗資料館の赤白提灯に潜り、階段の物売りが描いていた壁を経て、二階に上った時の場所です。一階の駄菓子屋や長屋と違い、目立たなく、独楽や十六むさしや体操人形をはじめ、ただ下町玩具たちを集めているところですが、ここに立って、何百年洗練した才智集めた玩具を自分の手で触れ、遊んで、タイムスリップして知恵比べできることの「情緒」は一言で表せないです。
人類の知恵と共に、科学が進化してきました。最先端のデジタル技術で生まれたインターネットで広い世界が近くなり、日本のゲームとアニメーションが国境と世代を超えて人々の絆を作ってきました。ここでたまに便利なスマートフォンを置いてバーチャル世界から抜出し、リアルの実物を触って、現代から一度純粋で素朴な原点に戻りましょう。そうしたら、時間をかけて熟成された技術と文化がここまで辿り着ける経過を、目を閉じたら自然に浮かんできます。
下町風俗資料館の二階のここが特別だと言うのはもう一つの原因があります:ここは上野のミュージアム達の中で、唯一の、窓から蓮に満ちた不忍池が眺められる場所です。
玩具を作った人達の知恵を引き継ぎ、江戸は東京に変貌されました。表参道の街路樹が優雅に光り、季節ごとにスカイツリーはライトアップの色を変え夜空に伸びています。そんな眩しく壮大な、世界最大な「都市圏」TOKYOの中、不忍池は紀元数世紀頃から存在し、この町の変遷を見てきました。そして、何百代、何千代人が今私にように、この池を眺めました。
上野の真の魅力は春の夜に舞う桜の花びらや夏に淑やかな蓮のような四季の景色だけでもなく、カメラを首にぶら下げて好奇心溢れた外国人観光客がベンチに座っている日向ぼっこしている老人とすれ違った時の国際化だけでもなく、朦朧とした光線に包まれる、幾つかの屋台が点在している黄昏時です。輝くところから静寂に戻り、江戸と同じくおぼろげな光をさまよい、障子や提灯のような、日本の「以心伝心」の曖昧さに包まれる時です。ここは、日本人にとって昔の庶民の温もりを思い出す場所で、外国人にとってこの国の純粋さと下町の醍醐味を満喫する入り口です。自然を感じる、人間を感じる力が敏感になる魔力の満ちた時です。

 今でもこのような歴史の息づく下町が日本地方の各地に点在しています。高層ビルへ駆け付ける若者たちも、国が建築物の木造回帰を提唱する調和という意味を理解し、長年の日ノ本文化で積んだ「温もり」に自負を持っているのでしょう。世界をリードする先端技術に対する誇りながら、情報格差や人間関係の希薄化の一番解決策は人と人のコミュニケーションであることを分かっているのでしょう。今と昔の繋がり、人と人の繋がり、自分が暖かい人間であることをこの二階のこの場所に立ってこの玩具を触れると、実感が湧いてきます。バーチャルにのみこまれず、リアルで考える、感じる、相手を思う気持ちは時空の変遷に影響されないものです。
例え時空の扉が開いたとしても、五感で味わえる人の温もりは変わらず、昔も、今も、未来も、この世界を繋がっていくのでしょう。

【評価】
尾嶋 佐和子

 リクさんは、日本文化を愛し、四季折々様々な楽しみ方が出来る「上野の山」の魅力を知 り尽くしている人なのですね。

リクさんに案内していただいて、いろいろお話を伺いながら、一緒に上野を歩いてみたい気さえしてきました。特に、「下町風俗資料館の二階」がリクさんの特別な一ヶ所になっているそうですが、私自身も最近訪れたとき、同じような思いを抱いたものです。

そして、「バーチャルにのみこまれず、リアルで考える、感じる、相手を思う気持ちは時空の変遷に影響されないものです。」と考えるリクさんの世界に大変共感しました。

世界中の誰もが、リクさんのように「今と昔の繋がり、人と人の繋がり」を大事に思う「温かい人間」であってくれたら、世界はどんなにか平和になれるのでしょうに・・・。

国際コミュニケーション科で学ぶリクさんらしく「人と人のコミュニケーションの重要性」をしっかりテーマに据えながら、実際の上野の魅力を生き生きと描写した素晴らしい作文をありがとうございました。リクさんの今後のご活躍を楽しみにしています。

【評価】
菅長 理恵

 上野をよく知る筆者のお気に入りは、玩具でタイムスリップしたり、不忍池を眺めたりできる「下町風俗資料館の2階」だそうです。

上野の真の魅力を「黄昏時」の「曖昧さ」、「庶民の温もり」と捉える感性に、そして「時間をかけて熟成された技術と文化がここまで辿り着ける経過」を思い浮かべることができる眼差しに、深く感銘を受けました。読み手に、人の営みについて思いを馳せる機会をくれる、すばらしい作品でした。

「時空の扉が開いたとしても、五感で味わえる人の温もりは変わらない」という揺るぎない信念が、国際コミュニケーションを学ぶリクさんを支えているのだろうと思います。国が違っても、時代が違っても、人と人とが温もりを感じ合いながらつながる世界を、みんなで作っていけますように。

 

【無題】

NGUYEN THU HA さん ベトナム 神田外語大学

  私は先週国立科学博物館に行きました。とても楽しかったです。様々な経験を得ることができました。次々と日本の技術に驚かされました。
最も印象深かったのは、シアター360°です。それは、日本館の一階地下にありました。そこに入った時、私はまるでドラえもんのどこでもドアに足を踏み入れた気がしました。
はじめは、少し怖いと感じることもありました。次から次へと未知(みち)なものを見せられたからです。
私は、私たちの祖先がどんな生活をしていたのかを垣間見ることができました。これらのことは、私が子供のころに、学校の歴史の時間に先生に教えてもらったり、教科書で読んだりしたことでした。私は、先祖たちが洞窟に住んで、狩や果物採取で生活をなりたたせていたのを目の当たりにすることができて、本当に楽しく、素敵だと思いました。
この作文を書いている今でも、その記憶が鮮明に蘇ってきます。日本は本当に素晴らしい国で、このシアター360°は日本がずば抜け技術発展した証しの一つだと思います。もう一度ここに戻(もど)りたいです。
もう一つ私を魅了にしたのは、フーコー振り子でした。私はこれに催眠術をかけられたとしか言いようがありません。この振り子について、一階にあるインフォメーションで詳しく説明してもらいました。私は、ビデオで解説されるまではその説明の半分しかわかりませんでした。本当に楽しかったです。
私は、次々と日本館内を駆け回りました。それぞれのエリアが持っている独特な味を堪能することができました。そして、私のお伴をしてくれたのは、日本語吹き替え機君でした。音声の「子供の日本語」を聞いたおかげでスムーズに理解できました。私は、日本人、自然、日本列島の様々な写真を撮りました。また色々な情報ももらいました。
昼休みには、屋上で周りの景観を眺めながら過ごしました。雲のない青空と心地よい日光を浴びながら、東京スカイツリーや下町を眺めました。このせわしく行き交う人々をのどかな場所で見守るのは、本当に、面白おかしかったです。
午後には、地球館に行きました。再び斬新な発見と出会いました。再びとりこになりました。はじめに、動物を見て、その生活の様子をビデオで紹介されました。私は、もう一度催眠術にかかり、その森に連れて行かれ、迷子になり、新たな発見を追い求め子供のようでした。動物の進化や生活環境も見ました。模型だけだったけれど、私のあやふやだった動物のイメージがはっきりしました。
私をこれほど、夢中にさせてくれた機械をじっとみながら、お前はどうしてこれまですごいのと何回も頭の中で問いかけました。

   博物館に入るときから、帰るときまで、たくさんの冒険ができました。帰る際には、本当に名残惜しかったです。だけど、なぜかエネルギーを補充された気がします。勉強詰めの一週間のご褒美にはエネルギー補充ツアーはなによりも素晴らしいです。このようなものを提供してくれる博物館や寮のお母さん、お父さん、友達に感謝しています。また、日本の素晴らしさを新たにみつけました。

【評価】
尾嶋 佐和子

一日中、国立科学博物館の中で、夢中になって様々な冒険を楽しんだ様子が、とても素直に生き生きと描かれていて、読む者も一緒にわくわくし楽しくなるような素敵な作文でした。また、平易かつ正確な日本語で、一気に流れるように書き上げられている点にも、大変好感が持てました。

きっと、グエンさんご本人が、とても素直で優しい人柄なのだろうと推察されます。そして、私もグエンさんのように、科学博物館の中で、こんなにも次から次へと色々なものに新鮮な感動を覚えながら、たっぷりエネルギーを補充することができるような柔軟さと若さがあったらなあ・・・と、読みながら羨ましくなりました。

「勉強詰めの一週間のご褒美に、エネルギーを補充するため」、新たな感動を求めて、ぜひまたグエンさんに遊びに来て欲しいと、きっと「上野の山」は待っていることでしょう。

グエンさんが、これからも、周りの人たちに感謝し、そして愛されながら、日本で益々充実した留学生活が続けられますようお祈りしています。

【評価】
菅長 理恵

 国立科学博物館での一日を生き生きと描いた作品は、「上野のミュージアムで見つけた私のお気に入り」という今回のテーマにぴったりだったと思います。シアター360°をはじめ、博物館内の様々なエリアを、目を輝かせて回っている筆者の姿が目に浮かぶようでした。これだけたくさん学び、楽しんでもらえたら、博物館もどんなに嬉しく思うでしょう。

「まるでドラえもんのどこでもドアに足を踏み入れた気がしました。」「お前はどうしてこれまですごいのと何回も頭の中で問いかけました。」といった表現には、筆者の人柄が溢れ出ていて、読み手を引き込み、微笑ませる力を持っていると思います。

グエンさん、勉強の合間に、ぜひまた上野を訪れて、エネルギーを補充してください。




 

 
 


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