
上野動物園西園内の不忍池は、現在、群生するハスの葉で覆われています。ハスが見ごろを迎えるのは、7月下旬.8月上旬頃です。
5月初旬より地下茎から芽を伸ばし水面に「浮き葉」と呼ばれる小さい若葉が点々と彩られていきます。ハスの葉は円形で撥水性があるので、朝露などでできた水玉が葉の表面をつたわるのをみると風情を感じます。
また、ハスの成長は、早く7月に入ると水面より1メートル位高い葉となり一斉に花が咲き出します。猛暑の年は、ハスの花が数多く見られるので今年も楽しみにしております。
昔は、品種物もあったようですが、現在の不忍池のハスの花の殆どは、「ジバス」と呼ばれる桃色の花が主流です。ハスの花は、早朝から見事な花を咲かせ昼過ぎに閉じてしまいますので、園内でハスの花が楽しめるのは、開園時間直後から正午にかけてとなります。また、園内の観賞スポットとしては、昨年の5月にオープンしたマダガスカル島の動物を飼育展示する施設「アイアイのすむ森」があります。

ワオキツネザルが住む小島を横に見て、フォッサのいる展示施設までハスの群生地の中を、浮橋を渡りながら間近で観賞できます。最近では、東の方角に、墨田区押上に建設中の東京スカイツリーが顔を出すようになりました。
また、花期が終わる頃には、小さな止め葉が顔を出します。これを合図に地下では、上部より空中の酸素を供給しながらレンコンの形成が始まります。江戸時代には、不忍池のレンコンの初ものを将軍に献上していたと言われていますが、現在では、ハスの掘り起こしや再植付け等の管理作業が行われていないので、地下茎が過密となり細いものが多く食用には適さないものとなっています。11.12月頃には、不忍池の景観を配慮するためハス刈りを行い来年の見ごろに向けた準備を行っています。不忍池のハスは、都内でも数少ない名所で夏の風物詩として多くの人に親しまれています。読者の皆様もぜひおこし下さい。
(なかじまのりひさ・上野動物園施設係)
|