
不忍池に飛来するカモたち
上野の不忍池には、年間を通してたくさんの野鳥が飛来します。いつも目の前に姿を見せてくれるカモたち…。不忍池の中でも季節や場所によって観察できる種類や時期が異なります。どのようなカモ類が飛来し、生息するのか紹介します。
カモといえば冬の風物詩と思われがちですが、1年間を通して生息するカモもいます。不忍池では、カルガモのみですが、不忍池周辺で繁殖し、春から初夏にかけて親子のほほえましいすがたを見ることができます。春から秋に数が多く、冬は少なくなります。カルガモのように年間を通して同じ場所に生息する鳥を、「留鳥」といいます。

不忍池は秋になると色とりどりのカモを見かけるようになります。このカモたちは、秋に渡ってきて翌年の春に北へ戻っていきます。春から夏に日本より北の地域で繁殖して、秋から冬にかけて越冬を目的に飛来する鳥たちを「冬鳥」といいます。10月になると、カルガモの中に黒や灰色の混ざった尾羽の長い大型のカモが見られるようになります。不忍池の冬の使者は、このオナガガモから始まります。

冬鳥として不忍池に渡ってくるカモ類は、オナガガモの他にキンクロハジロ、ホシハジロ、ヒドリガモ、ハシビロガモ、マガモなどです。マガモやハシビロガモは、特に.池で見かけることが多い種です。この2種は開けた池より、枯れたハスの茂るような環境を好むようです。ボート池は開けた環境のため、キンクロハジロが圧倒的に多く、ホシハジロやヒドリガモなどを見ることができます。キンクロハジロに混じって、羽色のよく似たスズガモやコスズガモが飛来します。
不忍池は都内で有数のカモの飛来地です。野鳥図鑑や双眼鏡片手に散策してみてはいかがでしょうか。
(たかはしゆきひろ・上野動物園)
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