
不忍池

左:キンクロハジロ(雄)中:ユリカモメ 右:スズガモ
不忍池周辺は散歩やジョギングなどで利用されている方で「今年のカモたちはちょっと様子が違う?」と思われた方はいませんか?
上野動物園では毎月1回、不忍池に飛来するカモ類を中心に、野鳥調査を実施しています。不忍池に飛来する鳥といえば、秋から冬に北から渡ってくるカモ類が有名ですが、今年はちょっと様子が違います。不忍池に一番多く飛来するカモ類で、昨年の飛来数のデータと今年のデータを比較してみたいと思います。
不忍池一番多く飛来するカモの仲間は、キンクロハジロです。キンクロハジロはユーラシア大陸で繁殖をし、秋から冬に日本に飛来します。雄は体の脇と腹部の羽が白く、頭部の羽は光沢によって紫色にみえます。雌は雄と比較すると地味ですが、黒色及び灰色で嘴の基部の羽が白色です。
キンクロハジロによく似たカモ類でスズガモがいますが、体が少し大きく翼上面の羽が白帯状で見分けがつきます。スズガモは沿岸部に多く飛来していて、不忍池で観察されるのは稀です。
キンクロハジロの飛来数ですが、2010年11月の調査では.池、ボート池、動物園園内池で340羽が渡ってきていました。しかし、2011年11月では155羽と昨年の半分以下しか飛来していません。12月の飛来数比較では、2010年が716羽、2011年は271羽と飛来数が減少傾向にあります。
例年と比べると今年はカモ類以外の冬鳥も、渡ってくる時期や見かける羽数が少ないように思います。東京都の都鳥であるユリカモメも、例年と比較すると飛来数が少ない傾向にあります。なぜ、キンクロハジロを含む冬鳥の飛来数が減少したのか、又は時期がずれているのか?詳細は不明です。ただ、飛来数が少なくても渡り鳥たちは、今年も不忍池を彩っています。図鑑と双眼鏡片手に、不忍池探索はいかがでしょうか?
(たかはし ゆきひろ 上野動物園 飼育展示課 東園飼育展示係)
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